PocketGear ファーストインプレッション

PocketGearうぃずPCカード拡張アダプタ
PocketGearにPCカード拡張アダプタを装着したものをクレードルに乗せたところ
クレードルを強化して大正解って感じですね(^^;

半月ひと月ほど前の話になりますが,発売が遅れに遅れていたNECのPocket PC参入第一弾「PocketGear」がついにというか,ようやくというべきか発売されました。

私自身は諸般の事情(金欠ともいう)により実機購入は見合わせざるを得なかったのですが,本サイトの運営を通じて知り合った友人からインプレ製作のために実機をお貸しいただけることになり,急遽本インプレ記事掲載の運びとなった次第です。

ご本人は奥ゆかしくも(笑)匿名希望ということでしたので,お名前は伏せさせていただきますが,購入したばかりの実機を快くお貸しいただき感謝の言葉もございません。 ありがとうございました。 本記事がPocket PC 2002の盛り上がりに少しでも貢献できるとよいのですが…はてさてどうなりますことやら(^^;

普段とは少々違った書き出しになってしまいましたが,記事の方はいつも通り実機を利用して感じたことや気付いたことを,他機種との比較を交えつつ筆の赴くまま書きつらねていく予定です。

ハードウェア関連

まずはハードウェア関連から見ていきましょう。

# といいつつ,ウチのインプレはこちらがメインだという話はありますが(^^;;;

筐体サイズ,重量

PocketGear&hp jornada 568
PocketGear&hp jornada 568
液晶画面サイズの違いがよく分かります

本機の外形寸法ですが,各サイズともGENIO eよりほんの少し大きく,CASSIOPEIA E-2000よりは(前面投影面積が)小さいといった感じで,両マシンのちょうど中間(よりはやや小さめ)のサイズに納まっています。

# この辺りE-2000が薄さを重視したのに対して,PocketGearは横幅を重視した結果でしょうか。

本体デザインが直線的なためやや大柄にみえますが,見た目の印象ほど大きなマシンではありません。

# 液晶サイズとそのデザイン処理(後述)も大柄にみえる遠因かもしれませんねぇ。

個人的には実際の取りまわしでは,GENIO eと比較してもほぼ同等という印象を受けました。

# GENIO eに比べて幅があり(滑り止めパーツもないので)手が滑りやすい分,ストラップホール(後述)が用意されているので,安心して握れる感覚とでもいいましょうか。

また,重量に関しては,他のPocket PC 2002搭載機と同じく200gを切っており,他機種と遜色のないスペックとなっています。

3.8inchと0.3inchも大きい液晶を搭載しながら,このサイズと重量を維持している点は,十分に評価できるのではないでしょうか。

まぁ,日常的に胸ポケットに入れるには微妙に大きくて重いかなといった感じもしないでもないですが,慣れで克服できる程度のレベルには納まっているのではないかなと。

ちなみに,デザインに関しては各人の好みが分かれるところでしょうから細かい点に言及するのはさけますが,個人的には液晶の縁にマージンを確保することでウリでもある画面サイズを大きく開放的に見せるデザインは,上手いなと関心させられました。

# CLIE T600Cを見た時も同じような感想を持ったんですけどね(^^;

各機種サイズ比較

動作速度

PocketGear&hp jornada 568側面
PocketGear&hp jornada 568側面
PocketGearもそこそこ薄いのがわかります

本機のCPUには,他のPocket PC 2002搭載機と横並びのStrong ARM 206MHzが採用されています。

したがって,単純に考えると同程度の速度となるのでしょうが,GENIO e 550X,hp jornada 568といった昨年末に登場したモデルと比較した場合,体感で感じられる程度には高速化されているようです。

私自身はベンチマークテストに興味がないので,今回も計測していませんが,Qtaさんのサイト(Software→BMQ)でベンチマーク結果が集積,公開されていますので,気になる向きは参考にされるとよいでしょう。

ただ,E-2000の簡易インプレ記事でも触れているのですが,「えここdeふぁいと!」のフレームレートがhp jornada 568に比べなぜか半分程度に落ち込むのは少々気になるところです。
# いや。 個人的にキラーアプリなのと,フレームレート表示が可能なので重宝しているもので(^^; <えここ

# Qtaさんが(この問題の解明のために)作成されたベンチマークソフトのテスト結果を見ても,本機ならびにE-2000のGAPI(Game用のAPI)利用時の描画性能が劣っている様子もないため現在のところ原因は不明ですが,ベンチマーク結果からもわかる通りGAPIを利用した全てのゲームが遅くなるといったものでもないようですので,画面の描画方法によって得手不得手があると解釈するのが妥当な線かも知れません。

# 上記テスト結果ではGENIO e 550Xとhp jornada 568,E-2000とPocketGearがほぼ同じ数値となることから,同じStrong ARMでも最新ロットでは改良が加えられているのではないかという推論をQtaさんからお聞きしました。

# 旧ロットはGAPIによる画面の部分描き替えが早く,新ロットはGAPIによる画面全体の書き替えが早いという傾向がみられるとのことです。
# あくまで今回はそうした『傾向』のベンチ結果が得られたという話しに過ぎませんから,鵜呑みにするのは危険なのはいうまでもありません(^^;

ちなみに,動画再生に関してはWindowsMediaエンコーダとiPAQ用Profileを利用してエンコードしたWMVの再生で比較した限りでは,他のPocket PC 2002搭載機と似たりよったりな印象をうけました。

# 本体メモリから再生すればストレスなく再生できるが,CF上に置くと引っ掛かりを感じるといった程度。
# 手持ちのCFが,読み書きの遅いSanDisk製なのが原因なのかも知れませんけどね(苦笑)

3.8inch反射型TFT液晶

PocketGearうぃずフリップカバー
フリップカバーを閉めたところ
シンプルです

本機の液晶画面には,これまた他機種と横並びの16bitカラー表示に対応した反射型TFT液晶が採用されています。

ただし,既に筐体サイズのところでも触れましたが,3.8inchと大型の液晶を搭載している点がポイントでしょう。
Pocket PC 2000(旧Pocket PC)では主流の画面サイズでしたが,GENIO eの登場以来筐体の小型化が進んだせいか,Pocket PC 2002搭載機種で3.8inch液晶を採用しているのは,PocketGearとiPAQ 38x0シリーズのみとなってしまいましたから,他機種との大きな差別化要因といえます。

画面解像度こそ他機種と横並びの状態なわけですが,ローマ字/カナ入力パッドなどSIP領域が広く取れたり,指による画面タップがやりやすかったりと,実用上便利な面も多々ありますし,画面の迫力や画面を見た時の嬉しさといった気分的な要素も見逃せないところでしょう。

# 個人的にはこの『嬉しい気持ち』ってのは結構重要だと思うんですけどね(^^;

無論,画面サイズを生かせるよう解像度が上がってくれればいうことなしなのですが,これはMicrosoftが腰を上げてくれないとどうしようもないですからねぇ(嘆息)

# 次Ver.のPocket PCソフトウェアでは強く改善を望みたいところです

発色に関しては悪くはないのですが,フロントライト点灯時にはやや青みがかった発色になってしまう辺り,E-2000やZAURUSの液晶などと比べてしまうと物足りなさを感じるレベルといった感じでしょうか。

# GENIOやjornadaに劣っているということはないです。

フロントライト輝度に関しては,必要十分な光量は確保されているとは思いますが,どちらかといえばやや暗めかも知れません。
ただ,フロントライト消灯時の明るさは画面サイズが大きいせいか,hp jornada 568よりは若干明るめの印象を持ちました。

一部の雑誌レビューなどでは輝度調節不可となっていますが,これは誤りで消灯を含めた5段階調節が可能です。
5段階というと気持ち少なめのような気はしますが,最低輝度に設定した場合かなり暗めになるので,同じく5段階調節のE-2000とは異なりバッテリ駆動時間への影響が心配になるといった印象は持ちませんでした。

# もっともE-2000のフロントライトの方が(最大輝度,最低輝度ともに)はるかに明るいためそう感じるだけという話しもありますので,一概にどちらがよいとはいえないとは思いますが(^^;

ちなみに,一部雑誌でバックライト輝度調節不可と書かれた原因ですが,推察するに輝度調整用のプログラム「PG設定」がスタートメニューの「設定」ではなく,スタートメーニューの「プログラム」の中にあるのが原因のような気がします。

確かになぜコントロールパネルアプレットにしなかったのか,首を傾げたくなる仕様ではありますね。

あえて苦言を呈するなら,他機種のようなセンサー連動の自動調光やハードウェアボタンによる輝度調節に対応していない分,操作が面倒に感じられるのは少々残念なところです。

バッテリ駆動時間

PocketGearうぃずPCカード拡張アダプタ
PocketGearにPCカード拡張アダプタを接続したところ
さすがにデカイです(^^;

お次は,発売前から心配されていたバッテリ駆動時間なわけですが…
正直かなり厳しいというのが素直な印象です。

毎回恒例のバッテリ駆動時間テストの結果は以下の通りでした。

実験条件

WMP8を使用して,SanDisk製CF 256MB上の64kbpsのWMAファイル3本をリピート再生。
画面OFF,ボリューム50%でインナーイヤータイプヘッドフォンを使用。

# hp jornada 568と条件を揃えるため,SDカードは未装着。
# ちなみにボリューム50%だとhp jornada 568の音量の方が『大きい』です。

PCカード拡張アダプタ(以降PCカードアダプタ)に関しては,同アダプタがサブバッテリとして動作するかを検証するのが目的のため,CFはPCカードスロットではなくあえてCFカードスロットに装着しています。

実験結果

もともとのバッテリ容量が小さいことに加え,NECのPocket PCデビュー1作目だけあって,パワーマネジメント系のノウハウの蓄積が足りなかったといったところでしょうか。

幸いPCカードアダプタがサブバッテリとして動作するのはこの実験結果を見れば明らかですから,長時間駆動が必要な場合はPCカードアダプタとのセット運用をおこなうという一種の『逃げ道』が確保されているわけで,この辺りはありがたいところです。

# それだけのために装着するには,かなりバカでかいユニットなのは問題ですが…(^^;

ただ,本アダプタの内蔵バッテリは,本体とアダプタを接続した状態では1つのバッテリとしてみなされる(バッテリステータスで合計値が表示される)らしく,iPAQのPCカードジャケットのように(外部バッテリとして,鞄の中などで)本体を充電するための外部電源代わりには利用できない仕様になっている点は非常に残念です。

# 念のため本体のバッテリが消耗したあと,満充電のアダプタを装着して5時間程放置してみましたが,充電された形跡は認められませんでした。

追記

PocketGearのPCカードアダプタに内蔵されたサブバッテリの残量はバッテリステータスに一切反映されない(=知る手段がない)旨,アダプタのマニュアルに記載があるとのご指摘を当サイト掲示板3982番発言にて中村さんよりいただきました。

誤りのご指摘ありがとうございます。

# 今後ともよろしくお願いします〜とか(^^;

外部拡張スロット関連

CFスロット周辺
CFスロット周辺,ストラップホール,リセットボタン,電源ボタン,PGダイヤル,ボイスレコーダボタン,SDスロットが確認できます
背面のCFスロットの三角形の窓やイジェクトレバーにも注目

Pocket PC 2002搭載機のスタンダードともいえる,CF TypeIIとSDスロットの2スロット構成を採用している点も本機のひとつの特徴となっています。

加えて,前述のPCカードアダプタを利用することで,3スロットを同時に利用できる点は(国内ではE-2000のPCカード拡張ユニットの発売遅れも手伝って)初の快挙といえるでしょう。

なお,SDカードスロットに挿入したSDメモリカードはGENIO eシリーズのような『メモリ カード 2』といった連番名ではなく,『SD メモリ カード』という固有の認識名でマウントされるので,CFとSDの認識順によってプログラムショートカットのリンク切れがおきるといったトラブルが発生しない点はありがたいところといえましょう。

# 余談ですがE-2000の場合は『SD カード』でマウントされたと記憶しています。

また,CFカードスロットはカードを抜き差しする度に本体の電源が入りますが,SDカードスロットは入りません。

以下,それぞれのスロットに関してみてみましょう。

CFカードスロット

国内メーカである以上当然ともいえますが,TypeIIに対応しているため,各種PHS通信カードやmicrodriveなどを利用できるのはありがたいところでしょう。

加えて,本体裏側にイジェクトレバーがあるのもやはり便利ですね。
GFORTのものほどスペースを食っていなさそうなのもいい感じです。

が,軟質プラスチック(?)のCFスロットカバーはPHSカードなどスロット外部にエクステンション部分が飛び出すカードを挿した場合,本体後部に山形に飛び出るため,鬱陶しい上,材質的にも酷使に耐えきれず千切れそうな不安感があり,ちといただけない仕様といえましょう。

ただし,一応フタのヒンジ(折り曲げ可能)部分は2箇所用意されているので,PCカードアダプタ利用時にPCカードスロットに挿したカードのエクステンション部分との干渉は『一応』避けられる模様です。

# が,PCカードアダプタ装着時にCFスロットのフタを空けるのには無理がありそうな雰囲気ですが(^^; <できなくはない

また,本体裏側にCFスロットに挿入したカードの裏面(INDEXラベルのある方)を見ることができる小窓がついているのは気が利いた仕様ですね。

SDカードスロット

本体左サイドというスロット位置からも推測できるでしょうが,本機のSDカードスロットは,GENIO eシリーズとは異なり,SDIOには対応していません。

とはいえ,現状SDIOに対応したカードはBluetoothカードくらいしか存在していませんので,拡張スロット用途はCF側に任せて,SDカードスロットはメモリカード専用として割り切って利用するという本機(とE-2000)の選択はあながち間違いではないのではないでしょうか。

ちなみに,本スロットの蓋はシャッターが採用されているため,SDメモリカードを抜いた状態でもスロットが保護されるのは嬉しいところです。

なお,シャッター型ということで,SDメモリカード挿入時にはSDメモリカードのお尻の部分が剥き出しになるわけですが,本体を握った際に指がここにかかる形で意識しつつ強く握り込むと,SDのイジェクト機構が動作してしまいます。
とはいえ偶然イジェクトされてしまう程過敏ではないので,その辺りの心配は必要なさそうです。

# もっとも,ZAURUS MI-E21などもSDが剥き出しになるんですが,こちらは意識的に握り込んでも(本体断面形状の妙なのか)イジェクト機構が作動しないんですけどね(^^;

その他のハードについて

PCカード拡張アダプタ接続時の拡張スロット周辺
PCカード拡張アダプタ装着時の拡張スロット周辺
PCカードが裏表逆差しになるため,エクステンション部が干渉していない点に注目

以降,その他の特徴的な部分をピックアップしてみていきましょう。

メインメモリが32MB

PocketGearを語る上では避けて通れない要素ですが,本体RAMが32MBになっています。

32MBという容量は従来のPocket PCからすれば標準的なメモリ搭載量ですから,外部メモリを利用しつつ,メモリ管理をちょっと工夫してやれば十分実用になる範囲だとは思います。

が,一度64MB搭載機を利用してしまうと,その楽さ加減に流されてしまうというのも間違いないところですので,やはり64MB搭載してほしかったというのが正直なところです。

microdriveの1GBやCFの512MBなどと比較してしまえば64MBと32MBの差はゴミのように感じられるかもしれませんが,実は意外と微妙な容量で,同期フォルダによる母艦との簡便なデータのやりとりや,HTMLやJPEG,GIF,TEXTといったPCのデータをそのまま扱えるというPocket PCの長所を活用しようと考えた時,同期フォルダに保存されたデータ量を気にしなければならないという無意識の枷を解き放ってくれる境界線的な容量であるように個人的には思えてなりません。

# というのはあくまでも比較的小容量ですむ,チープなデータ類に関しての話ですが。
# 音楽,動画データ類は素直に外部メモリに保存するのが現実的でしょう(笑)

PGダイヤル

CASSIOPEIAシリーズのアクションコントロールと同等の機能を備えた,PGダイヤルを本体左側面に備えています。

ジョグダイヤルのようなパーツを上に傾けることでカーソル上,下に傾けることでカーソル下。 押し込むことでアクションボタン(決定,Enter)として利用することができます。

電車の中で吊り革につかまりつつ片手で操作したい時などには,重宝するでしょう。

# 個人的には連続スクロールさせる場合に一生懸命ダイヤルを回す必要のある,SONYのジョグダイヤル(特許らしい(^^;)よりこちらの方が楽なので好きですねぇ。

ただ,各メーカーごとに呼称が違うのはいらぬ混乱を招きますので,Pocket PC陣営内だけでも,アクションコントロールで統一してほしかったような気もします(苦笑)

その他のボタン配置

E-2000では前面に移動してしまったボイスレコーダボタンが,本体左側面,PGダイヤル直下に配置されているのはCASSIOPEIAシリーズなどを使い慣れたひとにはありがたいところです。

ここにスタートメニューもしくは,ランチャ,タスクマネージャなどを割り当ててやることで,片手で各種作業をこなせるのは便利といえましょう。

また,本体前面にはカーソルボタンと4つのアプリケーションボタンが配置されています。
配列自体はある意味iPAQ互換といっても差し支えない,カーソルがセンターに配置されたものが採用されていますが,カーソルボタン周囲にはアクションボタン(決定)としての機能は用意されていません。

この辺りは運用スタイルの問題でしょうが,アクションボタンがあった方が便利に感じるひとも多いかもしれませんね。

ちなみに,このカーソルは一見するとスピーカと一体のようにもみえますが,実際にはスピーカの周囲に四角い穴の空いたカーソルボタンがはめ込まれる形になっています。
一応ボタンの斜め押し&同時押しに対応しているという話しなのですが,どうやら一応ソフトウェア的には対応しているといったレベルのようで,斜めに押し込んだ場合,ボタンが押下された状態のまま固定されてしまい,思うように操作できないといった現象が発生することがあるため,ゲーム用途にはやや厳しいものがありそうです(苦笑)

その代わりにというわけでもありませんが,前面に配置された各ボタン類にはスタイラスを利用して押すためのくぼみが設けられているため,スタイラスを握りながらのボタン操作はなかなか快適にこなせるのは便利かもしれません。

なお,前面のボタン類は押し込むと青色のLEDが点灯し,なかなかに格好良いとは思うのですが,オフにする設定がない辺りバッテリ駆動時間の短い本機のオマケ機能としては少々疑問を感じてしまいました(^^;

スタイラス

スタイラスは右側面に差し込む形になっており,取り出しボタンなどのギミックはないシンプルな構成になっています。
指の腹ではなく爪に引っかけるような感じで取り出してやる必要がありますが,取り出しにくいという程ではないでしょう。

ただ,本体の大きさの割にスタイラスが短めなのは残念なところです。
私の手の大きさからすると『ギリギリ許容範囲外』の長さといった感じでしょうか。

材質はプラスチックのようですが,比重の重いものを使っているのか適度な重さがあり,変にしなったりしない点は使いやすいですね。

# 金属ではないと思うんですけどどうでしょう。

ヘッドフォン端子

本体上部左隅とほぼ理想的な位置に配置されています。
この位置なら胸ポケットに入れたりしても邪魔にならないので安心ですね。

ただ,GENIO eシリーズやCASSIOPEIAシリーズのようにリモコンに対応していない点は,国内メーカの製品としては物足りなさを感じさせるかもしれません。

スピーカ

カーソルボタンのところでも述べましたが,カーソルボタンで周囲を囲まれるような形で内蔵スピーカが搭載されています。

音量はそこそこでますし,最大ボリューム近辺でも音ワレなどはないのですが,高音部が金属質でやや耳障りな音なので,音楽再生には厳しいという印象を受けました。

ホストインターフェース(USB端子)

本機はE-2000同様USBホストインターフェースを搭載しているのが特徴です。

が,どうもNECは携帯電話接続ケーブルなどを接続するための通信ポートとしての用途をメインに考えているようで,専用のUSB変換ケーブルを購入しないとUSBホスト機能を利用することができません。

この辺り,クレードルやPCカード拡張ユニットにUSBポートを備えたE-2000に比べると不便さと物足りなさを感じるところではあります。

クレードルについていれば,キーボードを繋ぐのには便利だと思うんですけどね。
# まぁ,どれだけの需要があるかはわかりませんが(^^;;;

イルミネーション

アラーム通知ランプをWake On Ring着信,USB Sync,アラーム通知,赤外線通信,録音中,バッテリ警告といった各イベントに対応させて,赤,緑,黄,青,紫,シアン,白の各色で点灯,あるいは点滅させることができます。

ヘビーユーザにとっては,特に必要性の感じられない機能かもしれませんが,こうしたハデな要素も一般消費者の興味をひくには有用でしょう。

# もっとも現在の価格設定では,興味を持ってもらったあとを繋げることが困難なわけですけれど(苦笑)

マイク

iPAQシリーズと同様にAGC(Automatic Gain Control)…録音の感度と音量を自動調節してくれる機能を搭載しているので,ボイスレコーダ用途に利用する際は便利そうですね。

# いや,私自身はまともに利用したことはないんですけど(^^;

また,本体上部の赤外線ポート部分のプラスチックに穴が空いているというマイクの設置方法はユニークといえましょう。
実際に手に持ってボイスレコーダとして利用する(特に他人にマイクを向ける)際には便利な配置かもしれません。

フリップ

フリップ取り付け部分
フリップのヒンジ部分で赤外線ポートが覆われてしまうのがよく分かります

Pocket PCには珍しく,液晶保護のためのフリップカバーがついています。

このカバーは本体上部の赤外線受光部付近の穴に,爪を差して固定する仕組みになっているため,赤外線通信時にはいちいち取り外さなくてはならない点はち不満の残るところです。

追記

感度は落ちるものの,赤外線通信自体はフリップカバーを装着したままで行える旨,中村さんより情報をいただきましたm(__)m

が,このフリップカバーは本体前面を覆い隠す程のサイズはなく,液晶面よりやや大きい程度に止められているため,本体裏側に回して折り畳んだ際に,握りやすさを考慮した本機の台形形の断面形状をスポイルしない点は高く評価できると思います。

また,フリップ右下に鉄板が埋め込まれており,本体に内蔵された磁石でしっかりと固定されるため,フリップを閉じたままポケットに入れようとしても変にめくり上がってしまったりしないのも,目立ちませんが見逃せないポイントといえましょう。

# といいつつ,私自身は磁石は磁気データの敵で,PCの周囲からは極力排除したいという頑迷な思想の持ち主なので,本体への磁石の内蔵はあまり嬉しくなかったりもするのですが(^^;;;

ストラップホール

筐体サイズのところでも少し触れましたが,国産メーカらしくストラップを取り付けるための金具が装着されています。

金属製のなかなかしっかりした作りになっている辺り,好感がもてますね。
PocketGearは筐体が金属製(滑り止めなどもありませんし)なこともあって,握った際滑りやすそうな印象を受けるのですが,ストラップを落下防止に利用できるので安心して操作できるのはありがたいところです。

この辺りはぜひ他社も見習ってほしいものですねぇ。

Wake on Ring(WOR)

CFスロットに装着した(WOR対応の)PHS通信カードがショートメッセージを受信すると,PocketGearが自動起動してメールを拾ってきてくれるという期待のプッシュ型配信サービス…らしいのですが… 現状対応しているサービスがあるのかどうかもイマイチわかりません(^^;

もっとも,対応端末にAirH"端末であるところのCFE-02が含まれていることですし,今後に期待したい機能ではあります。

# 一応BIGLOBEが対応するのでしょうが(^^;

クレードル&クレードルインターフェース

クレードル
半透明の部分が発売延期で増設された箇所ですね(^^;

ZDNetの試作機を利用したレビュー記事の写真と製品版を比較してみると,本機の発売延期の主原因になった(らしい)クレードルの改良がよく分かります(^^;

E-750以前のCASSIOPEIA系シリアルコネクタをさらに華奢にしたような,クレードルインターフェース(シリアルコネクタに該当)が採用されており,無理な斜め差しなどを繰り返すといかにも壊れてしまいそうな雰囲気です。

新たにクレードルに半透明のガイドパーツが付加されたことによって,クレードル(のコネクタ)に対して本体を垂直に抜き差ししないとうまくはまらないようになっています。
クレードルが軽量なため,片手だとクレードルから抜きにくかったりするのですが,このガイド部に小指を添えてやることで片手でても抜き差しできるのはちょっと便利かもしれません(笑)

ACアダプタ

ACアダプタ各種
左上がPocketGear,左下がj568,右が旧CASSIOPEIAシリーズ用

MobileGearやsigmarion系とほぼ同サイズのACアダプタが採用されています。
ブレードが折り畳めるなどの気が利いた機能は備えていませんが,hp jornada 568用とならんで,Pocket PC用の純正品としては十分小型の部類に入ると思います。

バッテリ駆動時間に不安の残る本機だけに,ありがたいところでしょう(苦笑)

なお,本体側の外部電源端子は,本体下部のクレードルインターフェースの右横についているため,ACアダプタを本体に挿したまま利用してもあまり邪魔にならない点も助かりますね。

ちなみに本体上部左にある充電ランプは充電中はオレンジ,充電完了後にはグリーンに点灯するタイプになっています。
充電完了後消灯するタイプのインジケータだと,充電が完了しているのか接触不良なのか判別が付かない時がありますから,細かいですが嬉しいところといえましょう。

もっとも,ランプ自体が小さい(=光量控えめな)ので,日当たりの良い場所だと点いているのかイマイチ判別しづらい時もあるんですけどね(^^;

リセットボタン

本機のリセットボタンは本体裏面,CFイジェクトレバーの上という極々標準的に位置に用意されています。

本体のみで運用する際には特に不満を感じることもないのですが,PCカードアダプタを装着しているとリセットできないのは微妙に不便な仕様といえましょう。

もっとも,E-2000はリセットボタンを本体左側面に移動させた結果か,ボイスレコーダボタンが側面からなくなってしまいましたから,善し悪しなのかもしれません。

# ちなみにソフトウェアによる再起動(GSPocketMagicで確認)を利用した場合,フリーズして電源ボタンやリセットボタンが利かない状態(後述)に陥るので注意しましょう(^^;

その他気付いた点

その他気付いた点を何点か。

まず,本機はプログラムが何かの都合でフリーズした際に,電源ボタンやリセットボタンが全く利かない状態に陥ることがあるようです(汗)

通常こうなってしまったら,電源ボタンとボイスレコーダボタンを押しながらリセットすることでフルリセットするしかないと思うのですが,そうそう頻繁にフルリセットしているわけにもいきません。

何とか解決法法はないものかといじっていた結果,『電源ボタンを押しながらリセット』することで,上記フリーズ状態から脱出できるらしいことが(経験則として(^^;)わかってきました。
ただし,この方法で強制的にリセットをおこなうと,時計が年単位で狂うというこれまた謎の現象が発生する模様です。

# マニュアルに載ってないリセット方法ですので,利用はいつも通り自己責任でお願いします(^^;

追記

この特殊なリセット方法はマニュアルにもきちんと記載があった旨,こちらも当サイト掲示板4078番発言にて中村さんから訂正情報をいただきました。

情報のご提供感謝いたします。

また,本機の電源回りの挙動は他機種と少々違った傾向がみられます。

通常クレードルをPCに繋いでないない(あるいは母艦の電源が落ちている)状態で本体をクレードルに挿した場合,電源はオンにならなかったと記憶しているのですが,PocketGearは必ず電源がONになり,砂時計(に当たるもの)がしばらく回転することがあります

これは本体にPCカード拡張アダプタを装着した場合も同様ですので,本アダプタを検出するための仕組みなのかもしれません。

それとこれは当方の環境のみの話かもしれませんが,USBクレードルを母艦に接続した状態で,電源を切った本体をクレードルに載せておくと「不明なデバイス」として認識されてしまいます。
実害はありませんが,ちょっと鬱陶しいのでもし仕様だとしたら改善して頂きたいものですね(苦笑)

ソフトウェア関連

PocketGearには他機種にないユニークなソフトが多数バンドルされているのが魅力です。
が,私自身が門外漢な(=興味が薄い)ジャンルが大勢を占めますので,簡単に流す程度に紹介するにとどめますが,ご容赦くださいませ(^^;

なお,PocketGearは出荷の時点からPocket PC 2002の不具合修正パッチが適用済みになっているようですので,手書き入力で『ふ』が認識されない,DNSの設定が反転するといった不具合(詳しくはWindowsCE FAQ参照)は解消されている模様です。

# 『ふ』については確認できたんですが,DNS反転に関しては当方はmopera利用なので未検証だったり(^^;

バンドルソフト紹介

PGメニュー

PGメニュー
PGメニュー
ドロップダウンリスト以外にも,両下端のページがめくれている部分をタップすることで前後のページに移動できます

NECの独自の全画面型ランチャソフトです。

結論からいえば,なかなか完成度の高いソフトに仕上がっています。

この手のメーカー製ランチャソフトの場合,複数ページを切り換える際にタブもしくはドロップダウンリストからの切り換えに加えて,ランチャを割り当てたアプリケーションボタンを再度押すことで切り換える機能かカーソルボタンを押しっぱなしにすることでページを切り換える機能の『どちらかを』採用していることが多いのですが,PGメニューは珍しくその両者に対応しています。

# たとえば,前者はHP製,後者はCAIO製がそれぞれ採用。

画面タップによるページ切り換えに加えて,アプリケーションボタンを複数回押すことでページが切り替わる上,アクションボタンを入れっぱなしにすることでフォーカスが勝手に移動し,ページ末までくると勝手に次のページに移動してくれるのでとても便利です。

また,メール数,仕事数,予定数,ダイアルアップ接続,バッテリ,本体記憶用メモリなどの各種ステータスを表示するモードを備えている点も便利でしょう。

ただ,タスクマネージャに相当する機能を(もちろん別アプリでも)持っていない点は搭載メモリが他機種に比べて少ない本機なだけに致命的とても残念な点といえますね。

# PGメニューにはアプリケーションアイコンが並ぶ,一見タスクマネージャのようにみえる表示領域があるのですが,これは単にアプリケーションの実行履歴なので,プログラムの終了などには使えない模様です。 残念(^^;

PG 設定

PocketGearの固有機能を設定するためのソフトです。

液晶関連でも既に触れましたが,なぜかコントロールパネルアプレットになっておらず,通常のアプリケーション扱いとなっています(^^;

本ソフトを利用して,輝度調整,マイクロフォンAGC,インフォメーション(ROMリビジョンやOSバージョンなどが表示されます),起動設定,赤外線設定,オートラン,イルミネーション設定,バックアップの各機能を設定可能。

この中で,注目できるのは(既に説明済みのAGCやイルミネーションを除くと)「起動設定」と「バックアップ」の2つでしょう。

起動設定は,電源OFF時にハードウェアボタンを押した際電源をONにするかどうかを,録音ボタンを含む各アプリケーションボタンごとに設定することができます。

同様の機能を備えたマシンもありますが,各ボタンごとに設定できるのはありがたいところです。

# もっとも,本機の場合ボタン自体誤動作防止策でくぼんでいる上,フリップカバーもあるので,他機種に比べ重要度の低い機能のような気もしますが(^^;

バックアップというのはもちろん,外部メモリへの本体データのバックアップソフトです。
全てのデータとPIMデータの2通りのバックアップ方法に対応しているのがポイントでしょうか。

DTONIC

DTONIC
DTONICツリー表示

辞書ソフトです。 ROM搭載されていないためCD ROMからのインストールが必須となります。

国語,英和,和英辞書データを選択的にインストールすることが可能。
はじめて使ったソフトだったのですが,一般的な検索に加えてツリー表示ができる点が印象的でした。

Jeode

Javaの実行環境でROM搭載されています。

が,WinXPでJavaVMをそもそもダウンロードしてすらいない私には宝の持ち腐れということになってしまいそうなソフトですね(^^;

WorldTALK

MobileGearシリーズで定番の「PocketInternetExplorerではないWebブラウザソフト」。
軽快な動作が特徴なのですが,個人的には「画面サイズに合わせる」オプションがないのが不満なため,積極的に利用することはなさそうです(^^;

iディスプレイ/i-enabler

i-enabler
i-enabler ハードウェアボタンへのボタン割り付けなども可能になっています

iモード向けWebサイトを閲覧するためのソフトと,iアプリの実行環境です。

iディスプレイの方は,iモードで利用される絵文字などが正しく表示されるといったメリットがあるものの,勝手サイト自体はPIEでもみれますし,iディスプレイ自体他機種ユーザも別途入手可能ですからいま一つありがたみが薄いのですが,i-enablerの方はなかなかに面白いソフトだと思います。

iアプリが動くとはいっても,Pocket PCネイティブのアプリケーションに比べれば機能面では比較にならないものが大半でしょう。
しかし,Pocket PCはPalmOSユーザからの「ちょっとした暇つぶし系のゲームが少ない」という意見を散見する現状を踏まえると,非常に強力な武器になりうるソフトなのではないでしょうか。

# といったお題目を抜きにしても,iディスプレイでiアプリのダウンロードリンクをクリックすると勝手にi-enablerが立ち上がってダウンロードを開始するさまはなかなか面白いものがあります(笑)

# iアプリの画面キャプチャの掲載許可を取るのが面倒なので,掲載した画面キャプチャはアプリケーション部分を塗りつぶしてあります(^^;

mobileCustom

PGメニュー用のSkinやアプリケーションなどを専用サイトからダウンロードして,カスタマイズするためのソフト。

本体だけで完結させようとしている辺り,ZAURUSを彷彿とさせるなかなか面白い試みだと思います。
今後の充実度次第でしょうか。

ただ,私の設定が悪いのかLAN経由ではうまく動作させられませんでした。

# いや。 ダイアルアップは通信料がもったいないかなぁと(^^;

SmartGallery

画像(静止画)ファイルや動画ファイルなどをアルバム管理するための『母艦用ソフト』。

とこう書くと,普通の人はCLIEに付いてくるPictureGear Lietのようなソフトを想像すると思いますが,過大な期待は禁物です(^^;

具体的にはアルバムソフトにActiveSync接続中のPocket PCの任意のフォルダにファイルを転送する機能を付加したソフトです。

任意のフォルダに転送(メモリカード上もOK)といった辺りは頑張っているなぁとは思いますが,MPEGファイルを自動的にPocketGear用Profileを利用してMWVに変換して転送とか,画像ファイルをPocket PCの画面サイズに最適化(リサイズ&減色)して転送するといった気の利いた機能は『搭載されていない』ようです。

今後に期待といっておきます(苦笑)

JRトラベルナビゲータ,EasyViewer,T-Time

他機種にもバンドルされているので,コメントの必要もない定番ソフトですね。
手堅いチョイスだと思います。

総評

さて,ソフト関連が大分おざなりな感じになってしまいましたが,PocketGearの特徴についてざっと概観してきました。 最後に簡単な総評を述べて本記事の締めくくりとしたいと思います。

とはいったものの,本機の場合正直コメントが難しかったりします(苦笑)

本機の魅力を考えてみると,大画面,2スロット内蔵,3スロット対応,過不足無いボタン配置を含めた筐体の作りの良さといったところでしょうか。
また,i-enablerやJeodeといった他機種では利用できないアプリケーションを多数バンドルし,WORやイルミネーションといった独創的な機能を備えている点もポイントでしょう。

この辺りに魅力を感じ,なおかつ1日の連続利用時間が短い…たとえば職場などの出先で本体を充電する環境を整えることのできる…人であれば,筐体の作りを含めて満足できる部分も多いのではないでしょうか。

しかし,旧iPAQ(36x0シリーズ)の本体並(かひょっとするとそれ以下)に貧弱なバッテリ環境のおかげで,私のように出かけたら出ずっぱりでその間読書やら音楽再生やらでバッテリを酷使し続けるような使い方をしたい人には,現状全くお勧めできないマシンになってしまっているのはなんとも残念な限り。

NECには,早急に本体バッテリへの充電機能を持った外部バッテリ(充電式,乾電池式問わず)をオプションとして用意して欲しいものです。

# まぁ,本体メモリに関しては,工夫次第で何とかなるとは思いますので(^^;

NECのPocket PC参入第一弾ということで期待のニューマシンだったわけですが,やはりというべきか,煮詰めが甘い箇所が散見されたこともありやや厳しい評価となってしまいましたが,筐体の作りやソフトウェアの作り込みなど,素性のよさを感じさせるマシンに仕上がっていると強く感じました。

NECにはこれに懲りて撤退などということにならず,より完成度をあげたニューモデルの投入してくれることを期待したいところです。

# 何だかんだいいつつユーザ心理としては,発売が延期にならなかったら…とか,12月の時点で欠点は指摘されていたわけで,なんで外部バッテリやら64MBモデルやらは用意できなかったかなぁ…とか思ってしまうのが本音ですよねぇ(苦笑)
# ま,発売延期の時点で組立済みのものを64MBモデルにするにはどれだけコストがかるかとかは全然わからないので,なんともいえないわけですけど(^^;