HP iPAQ Pocket PC h4150雑考 ■リード HP iPAQ Pocket PC h1900シリーズとほぼ同サイズのボディに無線LANとBluetoothを内蔵し,高クロックCPUを搭載した小型高機能マシン「HP iPAQ Pocket PC h4150日本語版」。 このページは,本機を1週間1ヶ月ほど利用する中で私が気付いたことや感じたことを,本気を活用する上で役に立つと判断した情報や他のiPAQシリーズとの比較などを交えつつ,筆にまかせて書きつらねたものです。本機の特徴や長所短所など要点のみを押さえたいという方は,結論と摘要(サマリー)を読んだ上で,気になった項目のみ拾い読みされることをオススメします。 なお本文中で取りあげる各機のカタログスペックに関しては,例によって参考リンクにあげた公式情報をごらんください。 ■参考リンク HP iPAQ Pocket PC h4150スペック(オフィシャル) HP iPAQ Pocket PC h1937スペック(オフィシャル) HP iPAQ Pocket PC h2210スペック(オフィシャル) iPAQ Pocket PC h1937 インプレ縮小版(当サイト) iPAQ Pocket PC h1920 インプレッション(当サイト) ■はじめに 「iPAQ Pocket PC h1920 インプレッション(C:\Works\My Documents\HTML\homepage\ce\h1920.htm)」の最後。蛇足部分に書いた『個人的には「ハイエンドなh1900シリーズ」ってのもみてみたい気がします』という私の希望をまさに実現してくれたのが,この「HP iPAQ Pocket PC h4150日本語版(以降iPAQシリーズはhxxxxと略記)」です。h1900シリーズと遜色の無いコンパクトな筐体に無線LANとBluetooth2種類の無線通信機能を内蔵し,高速なCPUを搭載した本機は,私にとって現在望みうる最高のPocket PCといっても過言ではありません。 しかしながらノートPCの買い換えや(原稿執筆を担当させて頂いていた)某誌の不定期刊化など金銭的に厳しい状態にあったため,今回は涙を飲んで購入を見送らざるを得ませんでした。が文市氏(http://www.ayati.com/index.html)のh4150関連記事中の『詳しくはGEOMETRIC SPACEやWindowsCE FANからレビューがでることと思いますが』という記述を見て勘違い気味の購入意欲が再燃。掲示板での中村さんの後押しもあって,カードで分割払いができるお店を探して無理やり購入することに。 購入前から当サイトのオフ会などで姉妹機であるh4350の英語版に触れる機会があり,h4000シリーズの完成度の高さにはかなりの好感触を得ていたのですが,実際購入してさらにその印象を強めることとなりました。ストラップ取り付け穴(ストラップホール)がないことや液晶の発色などの些細な不満を除けば,安定性,速度,機能,使いやすさとも,私がこれまで触れてきたPocket PC 2003日本語版搭載機としては間違いなく最高のものです。 以降各項目別に,詳しく見ていきましょう。 ■筐体,サイズ,重量 本機をh1900シリーズと比較すると,全体的なシルエットもそうですが裏面のネジ穴の位置やバッテリ蓋の形状などもほぼ共通で,同シリーズのプラットフォームを拡張した機種であることが見て取れます。このおかげでh1900シリーズと同様実数値以上に小さく感じられ,見た目のインパクトはかなりのものです。これで無線LANとBluetoothが内蔵されているといわれても俄には信じがたいものがあります。 h1900シリーズとh2210,h4150を並べて比較すると見た目と実際の大きさの感じ方にギャップがあることが分かり面白いです。h1900シリーズとh2210を比較した場合,単体で見た際はh2210が随分と大きく感じられるのですが,並べてみると思ったほどの違いはないことに気付きます。それに対してh4150とh1900シリーズを比較した場合,単体ではサイズの違いは全くといっていい程感じられませんが,並べてみるとh4150の方が大きいことに気付かされます。h1900シリーズとh4150のデザインが,見た目のコンパクトさに大きく貢献していることの現れといってよいでしょう。 手に持った場合,h1900シリーズを触り慣れている人ならやや大きく重くなっていることが分かると思いますが,同時に持ち比べない限り差に気付かない人も多そうです。 # 重量に関しては10g以上違うので,敏感なひとは気づくでしょうが。 # ただし長時間胸ポケットに入れていると,h1900シリーズより鬱陶しく感じられる違いではあります。 また小さいだけでなく,角を落とした台形型の断面形状と筐体下端がゆるやかに円を描いたデザインのおかげで,握りやすい点も評価に値します。h1900シリーズの場合厚みが足りずに板を握っているような感覚が残ったのに対し,本機は1mm程厚みが増えたことで逆に握りやすさを増した印象を受けました。 サイズ重量ともに微増していますが,従来機同様Yシャツの胸ポケットに入れてもほとんど違和感を感じないレベルです。むしろ横幅が小さすぎてポケットの中での収まりが悪いとか,ストラップ取り付け穴が無い(クリップ付きのストラップが付けられない)とか,サイズや重量以外の部分が気になるひとの方が多いかもしれません。 # 本機よりも重い携帯電話もあるくらいですしね。A5502Kとか。 iPAQシリーズというと本体外装には全てシルバーのメッキ(一部塗装)が施され,銀一色というのがデザイン上の特徴となっていましたが,本機では本体裏面がダークグレーの細かい梨子地処理(というかマット仕上げ)されたプラスチックパーツになっています。h5000シリーズのような外部アンテナがない筐体で無線LANの感度を稼ぐための措置だと思いますが,メッキに比べて滑りにくく握った際に手になじむ感じで好印象を受けました。好みの問題はあるでしょうが安っぽさも特に感じられません。 ボディ前面もメッキ処理ではなくなりました。銀色の塗装の上からクリアが重ね塗りされており,ニス塗りのようなテカリのある表面処理で少々安っぽく感じられます。ただiPAQやHPのロゴはクリア塗装の下に印刷されているようで,擦りなどによる文字欠けの心配がなさそうな点は嬉しいところでしょうか。 なおh1900シリーズのプラットフォームを継承していることからも分かるとおり,h3000シリーズやh5000シリーズで継承されてきたジャケット(拡張パック)類には,一切対応していませんので注意が必要です。 # って,今更ですけれど(^^; かつてはiPAQの代名詞ともいうべき機能だったので一応。 ▼サイズ/重量比較(付加機能) h4150 71(W)*14(D)*114(H)mm/約132g(SDIO,無線LAN,Bluetooth) h1937 70(W)*13(D)*113(H)mm/約124g(SDIO) h2210 76(W)*15(D)*115(H)mm/約144g(SDIO,CF,Bluetooth) h5550 84(W)*16(D)*138(H)mm/約207g(SDIO,無線LAN,Bluetooth,ジャケット対応) Axim X3i 77.2(W)*14.9(D)117(H)mm/140.4g/(SDIO,無線LAN) Mio558 74(W)*15.3(D)*125(H)mm/約157g(SDIO,CF,無線LAN,Bluetooth) Mio339 72.8(W)*13.8(D)*121.7(H)mm/約120g(SDIO,カメラ) e750 80(W)*16(D)*125mm(H)/約197g(SDIO,CF,無線LAN) GENIO e400 77(W)*12.5(D)*125(H)mm/約137g(SDIO) ▼蛇足 h1900シリーズは(机などの上で)本体を垂直に立てて置いても一応自立しましたが,本機では充電/通信ポート下端が接地面に対して水平ではないため縦置きできません。 # 元々危ういバランスだったので,縦置きできるからなんだという話もありますが(^^; ■動作速度 筐体サイズ,無線通信機能と並んで本機の大きな武器となるのがこの処理速度です。スペック的にはIntel PXA255 400MHzと1年近く前※から代わりばえのしない内容で「Digiwalker Mio 558(以降Mio558)」や「Axim X3i(以降X3i)」のPXA263 400MHzに比べると新鮮味に欠けますが,チューニングがよいのかとても快適に動作します。 ※ 「GENIO e550C」が2003年3月発売。 SAMSUNG S3C2410 203MHzを搭載したh1937もクロックの低さを感じない速度で動作したのですが,これとPXA255 400MHzを搭載したh2210と比較した場合,処理によってはややもたつきを感じることもありました。個人的な印象としてはh1937とh2210は(得手不得手を平均すると)ほぼ同クラスの処理速度に感じられましたが,h4150は体感上1ランク上の速さ。私が今まで使ってきたPocket PCの中では間違いなく最速のマシンです。 # もっともh1937も十分早いマシンだったので,実用上は気にならないレベルという説も。 h2210と同メーカー,同OS,同CPUということで,ソフトリセット後の再起動の遅さが心配だったのですが,同じ環境を構築済みのh1937と比較しても計測しない限り分からない程度の違いしかありませんでした。Pocket PC 2002搭載機と同じ感覚で気軽にソフトリセットできるのは嬉しいところです。 # ストップウォッチを使った手動計測でh4150は9秒弱。h1937が8秒弱,hp jornada568が7秒強。環境は異なりますが,大山さん所有のh2210で計測させて頂いたところ18秒前後でした。 またh1937で実用に達したと感じられた「Windows Media Player(以降WMP)」によるWindows Media Video(以降WMV)の再生ですが,さらに快適になっています。「Windows Mediaエンコーダ 9 シリーズ」を使って「Pocket PC ワイドスクリーン ビデオ」と「CD品質オーディオ」の組み合わせを選択した後,「セッションのプロパティ」の「圧縮」タブにある「ビデオビットレート」を186kbpsから400kbpsに引き上げて作成した,オーディオ込み473kbpsのファイルをフルスクリーンでほぼストレスなく再生することができました。 # WMVの再生にはSDメモリカードの転送速度はあまり関係ないようです。検証には転送速度の遅いSanDisk製256MBを利用しましたが,本体RAM上に置いた場合と大差ない再生状況でした。 h1937やh2210で同じファイルを再生した場合,端々で引っかかりつつも「なんとか再生しています」といった感じだったのに比べると見違えるようです。なお圧縮時のビデオコーデックはWindows Media Video 9にした方が良い結果が得られるようですが,ソースによってはうまく再生できない(WMPが勝手に終了する)ことがありました。 # ビデオビットレートを500kbpsまであげるとソースによっては微妙にカクカクし始めるようです。 参考までにベンチマークも行ってみました。計測には例によって「BMQ」を利用させていただいています。結果数値を配布サイトで公開されているリストと比較すると,h1937と同様体感速度の速さはベンチマーク結果に必ずしも反映されていない(h2210よりスコアが低い)ことが分かります。 これだけだとなんですので,PocketMatrix.comのAsus A716のレビュー記事(http://www.pocketmatrix.com/forums/viewtopic.php?t=8858)で利用されていた「PocketQuake」を使ったベンチマークも行ってみました。こちらはh4150が優秀なスコアを出しており,本機の体感速度の速さをある程度裏付けた結果といえそうです。 # 海外のサイトになってしまいますが,PocketQuakeのベンチマーク結果をまとめているページ(http://www.pocketmatrix.com/forums/viewtopic.php?t=8858)があるので興味のある方はどうぞ。 何にせよPocket PCもPocket PC 2003になって,ようやくストレス無しで利用できる動作速度に達したといえそうです。通常利用時に処理速度に不満を感じるとしたら,「Pocket WZ Ver.3.0(以降PWZ3)」と「Pocket Internet Explorer(以降PIE)」くらいでしょうか。XScale系ということでオーバークロックソフトを利用できますが,バッテリの持ちも考えればリスクを侵してまでクロックアップするメリットは薄いと思います。 # PWZ3の起動の遅さはh1937と比較して全く変わってません。私の環境でPWZ BOARDの起動に6秒くらいかかります(嘆息)Pocket PC 2003でもPWZ2が使えたらなぁと思うことしきり。 # PWZ2はPocket PC 2003では外部ストレージ上に置かないと正常動作しません。 ▼BMQ Version 0.31 ベンチマーク結果 h4150 400MHz Inte. 1218/Float 109/Draw 300/Window 303/Memory 1252/Total 636(定格) h4150 475MHz Inte. 1438/Float 129/Draw 356/Window 355/Memory 1502/Total 756(Overclock) ▼PocketQuakeBeta0.062 timedemo結果 h4150 400MHz 16.6fps(定格) h4150 472MHz 20.1fps(Overclock) h1937 203MHz 10.6fps(定格) h2210 400MHz 14.9fps(定格) Mio558 400MHz 15.3fps(定格) Mio558 472Mhz 17.5fps(Overclock) Mio558 530Mhz 19.5fps(Overclock) ※ 上記掲載データ中,h2210は大山さん,Mio558はtaurin5さんにそれぞれ提供していただきました。ご協力ありがとうございます。 ▼おまけ/PocketQuakeの導入方法 配布サイト(http://quake.pocketmatrix.com/download.php)から「Shareware Quake Game Data」と「PocketPC 2002 or WinMobile 2003」の2つのファイルをダウンロードして,それぞれを解凍。 『ルートに』「\Quake\ID1」フォルダを掘ってpak0.pak.gzとautoexec.cfgをコピー後,PocketQuake.exe(どこに置いてもOK)を実行すると起動できます。 # gx.dllも同封されてますが,Windowsフォルダ(ROM)に元々入っているので導入不要。 timedemoモードを実行するには,autoexec.cfgをテキストエディタで開いて,最終行に「timedemo "demo1"」を追加しましょう。 # ちなみに起動後は,JUMPボタンを1回押したあと放置するとデモが開始される模様(Mio558では不要との情報アリ)。 ※ timedemoの起動方法に関しては,taurin5さんに情報をご提供いただきました。 ▼蛇足 h1937インプレ縮小版(http://www83.sakura.ne.jp/~geometric/scrapbook/0335.shtml)でも触れましたが,Pocket PC 2003とActiveSync 3.7の組み合わせになってActiveSyncの同期速度が高速化されました。h1920(Pocket PC 2002)とActiveSync 3.6の組み合わせと比較すると体感で倍近く違う印象があります。ただしUSB1.1のままなので,サイズの大きなファイルを単純に転送する場合は速度の向上は望めないでしょう(未検証)。 # h1920とActiveSync 3.7(本製品添付のActiveSyncで確認)の組み合わせでも,高速化の恩恵は受けられましたので,ActiveSync側の改善といってよさそうです。 ■3.5inch 半透過型カラーTFT液晶(QVGA) 本機は半透過型カラーTFT液晶を搭載しています。半透過型ですので暗所や室内,直射日光下,晴天時の日陰など様々なシチュエーションで良好な視認性を得ることができます。細かいことをいえば直射日光下では反射型に劣り,室内では透過型に劣りますが,苦手なシチュエーションも特にありませんので,利用場所を限定しないPDAには最適でしょう。 # 液晶にとっては中途半端に明るい晴天時の日陰が一番厳しい条件だと思いますが,文字の判読,色の識別ともに問題ありませんでした。 h1937では黄色いと不評だった液晶ですが,本機では改善されたような,そうでもないような微妙な感じです。真正面から見た場合は黄色味はほとんどなくなっており白がちゃんと白く見えますが,h1937同様白下方向から斜めに覗くと白が黄色く反転してしまい,正常な発色ではなくなってしまうのは相変わらずです。また発色自体も少々赤が弱い印象(この辺りはh2210に似た傾向)があり,やや精彩に欠いたものに感じられます。この辺りは本機の数少ない弱点といってもよいかもしれません。しかしながら本機の液晶を単独で見ている分には「下方向の視野角がちょっと狭いかな?」ぐらいの印象だと思います。 # h3900シリーズやh1920の液晶などと比べるとガックリ来てしまうのも確かですが(^^; 液晶サイズに関しては,h1900シリーズやh2210同様QVGAの3.5inch液晶を搭載しています。h3000シリーズやh5000シリーズの3.8inch液晶に比べると迫力に欠けますが,本体サイズに見合う大きさで,いわゆる額縁部分が無駄に広いといったこともないため不満を感じることは少ないでしょう。相変わらずの320*240ドットのQVGA表示ではありますが,Pocket PC 2003日本語版ではシステムフォントがMSゴシックからMS UI Gothicに変更になったため,8pt以下のフォントサイズ(PIEの文字サイズ小等)でも充分判読でき,以前のような手狭な印象は薄くなっています。Pocket PC 2002と比べ擬似的に画面解像度が1ランク向上した効果があるといっても過言ではありません。 iPAQ伝統のバックライト輝度の自動調光機能は省かれており,輝度調節もOFFを含めた5段階と最低限のものです。h2210が多段階(CE FANの記事によれば60段階)だったのに比べると本機は中堅機種とはいっても,設計が廉価機種の延長線上にあることが伺われ興味深いところです。ちなみに最高輝度では明るすぎる程なので屋外での利用頻度が低い場合は,最低輝度(2目盛り目)に設定してバッテリ駆動時間を稼ぐのもアリでしょう。 # 実際私は最低輝度に設定する代わりに,タイムアウトによるバックライトオフを無効にして利用しています。 なお液晶面は従来機種と同様に約1mm程奥まって配置されているため,液晶保護カバーなどを利用しなくとも胸ポケットに入れておく分には特に気をつかう必要はなさそうです。 ▼蛇足 バックライト周りで1点謎の現象を発見しました。まれにですが電源ボタンを押してスタンバイに移行してもバックライトが消灯しない場合があります。一端この状況に陥るとリセットするまでは,電源ボタンを押してON/OFFを繰り返してもバックライトは点けっぱなしのままです。h1937でも似たような状況に陥ることがありましたが,こちらではバックライトが消えなかった段階でフリーズ(電源投入不可)してしまうのに比べると,本機の場合電源ボタンを再度押せば普通に動く分マシな症状です。発生条件の絞り込みは未だ出来ていませんが,「設定」→「バックライト」の「デバイスを使用していない時にはバックライトを切る」を有効にしていると発生しない『ような』?? # 電源ボタンを長押しすればバックライトも切れますが面倒ですし,きちんとスタンバイできているのか疑わしいものが…… ■バッテリ周り(メインバッテリ/メモリ バックアップ バッテリ) コンパクトな筐体にも関わらず交換可能なリチウムイオン充電池を採用し,バッテリ交換時にメモリ内容を保持するためのニッケル水素充電池を内蔵しています。 「メモリ バックアップ バッテリ」はエンドユーザには交換できない仕様ですので,ヘタって来た場合にはメーカ送りにせざるを得ない点は残念です。 # 数年間継続使用しなければ問題にはならないでしょうが(^^; メインのバッテリはh1900シリーズの900mAhから1000mAhに容量が増加していますが,バッテリ駆動時間の公称値は最大約8時間と変わりません。この辺りh1900シリーズと同容量のバッテリを採用しながら公称値最大約12時間と延長されているh2210とは対照的です。この数値は非通信時なので当然無線LAN,BluetoothともOFFになっている状態のはず。にも関わらず駆動時間が振るわない辺り,この状態でも電源の供給が必要なのかちょっと気になるところではあります。 # チューニング(パーツ選択etc.)の際に,省電力と動作速度のどちらに重きを置いたのかという設計思想の違いなのかななどと,根拠なく思ってみたり。かつてHPのjornadaシリーズがバッテリ駆動時間,COMPAQ時代のiPAQシリーズは動作速度の面でそれぞれ優れていたことが思い出されます。 バッテリ周りの構造はh1900シリーズを踏襲しており,カバーとバッテリが別になっているタイプです。X3iのようにバッテリとカバーが一体になっているタイプに比べ重量的には有利らしいのですが,素早く交換するにはあまり適さない形態といえるでしょう。とはいえバッテリの消耗が激しい無線LANを搭載した本機では,他機種以上に交換可能なバッテリの意義は大きくなっています。クレードルで予備のバッテリが充電できたり,オプションとして1800mAhの大容量バッテリがラインナップされている点は大いに評価できる点でしょう。 # 大容量バッテリを利用する場合,同梱の専用バッテリ カバー(結構出っ張る)を使う必要があるため,標準バッテリと出先で入れ換えて使おうとするとちょっと不便そうです。 h1900シリーズからの変更点として,「バッテリ カバー リリース ラッチ」(長っ)が大型化されスライド量が増えています。従来はスライドさせつつバッテリ カバーを持ち上げないといけなかったのですが,本機ではスライドさせきった段階でカバーが浮くため操作性が向上しました。ただしラッチが操作しやすいよう滑り止めの突起が大型化したため本体を左手で握った際に指先が当たるので鬱陶しく感じるひともいるかもしれません。 またバッテリ カバーの上端にもツメが付いたため,開け閉めの際にちょっとしたコツが必要になりました。外す際はカバーを浮かしたあと(裏側から見て)左下側から外し,はめる際には右側面のツメを差し込んだあと上側から先にはめてやると上手くいきます。 # ヘタなことをするとツメが破損しそうで怖いです(^^; バッテリ本体に関してはh1900シリーズのものと比べて若干厚くなっているものの,ツメの位置も含めて同じようなサイズで,文市氏の記事にもあるようにお互いに交換しても電源投入可能でしたが,そもそも端子数が異なるので,転用は止めた方が無難でしょう。 # バッテリ残量が認識されない上,h1900シリーズにh4150のバッテリを入れた場合はカバーが閉まりません。 なおCPUクロックの切り換えといった省電力機能は用意されていませんが,無線LANに関しては「設定」→「システム」タブ→「電源の制御」タブから3段階(オフ/自動/延長)に「無線LAN節電モード」を指定可能です。 # あとはお馴染みのスタンバイとバックライトオフまでのタイムアウト設定のみです。 ▼実施予定バッテリ駆動時間テスト(実施優先順位順) WMA連続再生時間 9時間50分 無線LAN(パワーマネジメント自動)連続通信時間 WMV連続再生時間 Bluetooth連続通信時間 無線LAN(パワーマネジメント延長)連続通信時間 ドキュメント連続閲覧時間 ■メモリカードスロット関連 良くも悪くも本機を特徴付けているのが,SDIO拡張スロット(SDIO/MMCカードスロット)1スロットのみというスロット構成でしょう。この割り切りによって小型化が実現しましたが,同時にCFスロットという(PDA向けとしては)最も普及し枯れた拡張スロットが省かれたことで利用できる周辺機器に制限が加わることになります。 現在PDAユーザの間でよく利用されるCFカード型デバイスは,PHS通信端末,携帯電話モデム,アナログモデム,有線&無線LAN,GPSレシーバー,カメラといったところでしょうか。幸い本機の場合無線LANとBluetooth,赤外線を内蔵しSDIOに対応しているため,これらの内のいくつかは代用可能です。 # CFカードタイプでPDA向けのデバイスとしては,他にもVGAやUSBホストなどがありますね。 まずLAN関係ですが無線LANは既に内蔵しているため問題ないとして,有線についても内蔵無線LANとUSB接続(によるActiveSync)で代用可能でしょう。有線の場合100BASE-TX対応のCF型LANカードも存在していますが,非力な上扱うファイルサイズがPC程大きくないPDAでは(経験則から言って)実行速度に大きな開きはでないと思われます。 次にGPSユニットですが,こちらに関してはSDIO対応のGPSレシーバー「SDGPS(http://www.iodata.jp/prod/multimedia/gps/2003/sdgps/)」が既に販売されています。しかしサイズ的な余裕があるCF型のものと比較すると,受信感度(起動時に衛星の捕捉にかかる時間)の面でやや不利な他,1スロットしかない拡張スロットを占有してしまうため,地図データを本体RAM上に置かなくてはいけないこと,形状的に強度面で不安があることといった問題が残ります。もっとも国内販売はありませんが海外ではBluetooth接続のGPSレシーバーといったものも販売されていますので,こうした周辺機器が国内でも販売されるようになれば(or個人輸入すれば)状況が改善される可能性は残されています。 カメラに関してはやはり国内販売はまだないものの,海外ではSDIO対応のカメラカードが登場しつつあります。拡張スロットを占有してしまうためにデータ保存先が本体RAMに限られてしまう点や,形状的に強度面で不安がある点もGPSユニットと似た状況といえそうです。 最後にPHS通信端末や携帯電話モデム,アナログモデムに関しては,Bluetoothと赤外線を利用して代用することになります。正直なところ日本国内でのBluetooth対応はまだまだで,CFスロットを代用できるところまで達しているとは言い難いものがありますが,初期導入費用やランニングコスト,携帯電話へのアダプタの着脱といったひと手間に目をつぶれば,なんとかなる程度には環境が整いつつあるのが現状です。私自身は端末の使い勝手と重量制課金には目をつぶりつつ「PALDiO 633S」を利用しています。今後の対応端末の充実に期待したいところです。 ちなみにPDCと赤外線アダプタによる通信は通信速度が大変遅いため,メールチェック以外の用途には向きません。赤外線を利用するならICカード公衆電話を利用したダイアルアップがお勧めです。 なお例によって,SDの著作権保護機能には対応していません。 ・AirH" SDIO対応カード AH-S101S(http://www.sii.co.jp/mc/mc_card/ahs101s/index.html) ・AirH" Bluetooth(TM)機能搭載モデムアダプター「BTA-NW1(http://www.ecat.sony.co.jp/camera/videoacc/acc/index.cfm?PD=43)」と「AH-N401C」 ・DoCoMo PHS 「PALDiO 633S」 http://www.sharp.co.jp/products/633s/ ・au C413S http://www.sonyericsson.co.jp/product/au/c413s/index.html ・DoCoMo製データ通信カード Bluetoothモバイルアクセスステーション「B-port II(http://www.hscjpn.co.jp/products_s.php?idno=174)」 ・FOMA FOMA専用Bluetoothアダプター「F-access(http://www.hscjpn.co.jp/products_s.php?idno=190)」 ・au ワイヤレス・ハンズフリーアダプター (Bluetoothアダプター)「0201NPK(http://www.au.kddi.com/seihin/shuhenkiki/kiki/gbook_handsfree.html)」 ・au Bluetoothアダプタ C019PNK(旧製品) ・PDC 赤外線アダプタ IrGEAR for KEITAI(http://www.linkevolution.co.jp/products/bp_products02.html) PDC 赤外線アダプタ ITAX-irDA(http://www.taxan.co.jp/itaxan/html/product_7.html) ・PDC 赤外線アダプタ Ir-Trinity(http://www.sun-denshi.co.jp/scc/products/mobile/is96u/is96u.htm) ・vodafone NOKIA6650 http://www.vodafone.jp/japanese/service/vgs/product/nokia6650.html ・au A5504T http://www.kddi.com/corporate/news_release/2004/0301/ ・FOMA F900iT http://www.itmedia.co.jp/mobile/0312/18/n_itiv.html ※ 私自身が動作確認を行ったのは633sのみ。中には動作実績のないものも含まれているので,購入に当たっては充分な情報収集,もしくは人柱精神をお忘れなく。 キャプション なお,3.5mm径のヘッドフォン端子を採用した影響下か,左寄りにオフセット配置されています。 ■メモリ関連 RAM 64MB,FlashROMを32MB搭載しています。ただしRAMの一部はシステムの予約領域として利用されるため,ユーザに開放されるのは55MB(設定→メモリのメモリ総量表示は56.77MB)である点には注意が必要です。これは従来(h3000/h5000シリーズや他社)のマシンで利用されていたFlashROMはNOR型でROM上のファイルを直接実行できたのに対し,本機やh1900シリーズ,h2210では採用されているFlashROMがNAND型のため,一端RAM上にファイルを展開する必要があるためだとか。 # コスト及び実装面積の面で有利な点を買われての採用と思われます。 この55MBのユーザ領域をWindowsCEの作法に習って,ストレージ用途の「データ記憶用」と,プログラム実行領域の「プログラム実行用」に任意に割り振る※ことになります。やや目減りしているとはいえ今時のPockt PCとしては標準的なスペックですから,通常利用であれば問題になることはないでしょう。ただし「NetFront v3.1 for Pocket PC(以降NetFront)」のように実行時にメモリを大量に消費するアプリケーションや,「ATOK for Pocket PC」のようにインストールサイズが大きなものを併用すると「もっとメモリがあればなぁ」と思うことにはなりそうです。 # pocketgamesがメモリ増設サービスの取り扱いを開始していますが,メーカ保証が失効することと,本体RAMとしては扱えない(速度の速い外部ストレージ扱い)こと,価格設定が高めであることを考えると悩ましいところです。 ※ 一応OSが動的に割り当てを変更することになっているので,ユーザは気にしなくてもOK……のハズ。 もっとも本機の場合,通信に無線LANもしくはBluetoothを利用する限りにおいてはSDIO/MMCカードスロットをストレージ専用に使えますし(=通信時のログの保存や通信ソフトのインストールにも利用できる),SDメモリカード上にアプリケーションをインストールしてもh1937と比べ安定して動作するようなのであまり神経質になる必要もないかもしれません。 # さすがにアプリケーションボタンにSDメモリカード上のアプリケーションを割りつけて,電源を入れつつ即起動しようとすると,カードの認識が間に合わず起動エラーになります。 # 中には本体メモリにしかインストールできないアプリケーションも存在するわけですが。 また英語版のh4000シリーズではFlashROMの空き領域を「iPAQ File Store」としてユーザが利用できましたが,日本語化で空き容量が減ったのか本機では利用できなくなっています。 ■内蔵通信機器(Bluetooth&無線LAN) h1900シリーズと本機の最大の差別化要因が,Bluetooth(Ver.1.1)と無線LAN(IEEE802.11b)2種類の無線通信手段を内蔵している点です。同様に両者を内蔵したPocket PCとしては,h5x50やMio558,「Pocket LOOX FLX3AW(以降FLX3AW)」などがありますがこれらの中では最小最軽量を実現しており,外部アンテナが本体から突出したりしているわけでもないため非常に扱いやすくなっています。 そうなると心配になってくるのが受信感度ですが,私の自宅は鉄筋コンクリート製で2階の自室に無線LANアクセスポイント(以降AP)を設置した状態でスチール製の雨戸を閉めきってしまうと,1階の居間では接続できないPCカード型無線LAN製品があったのですが,この状態でも問題なく通信を行うことができました。また液晶画面横に2本のダイバシティーアンテナを内蔵する「ThinkPad X31(以降X31)」や「ThinkPad T23」と比較しても遜色ない印象があります。 またMio558は無線LANとBluetoothが(同じ周波数帯を利用するので干渉を避けるため?)排他利用になっていますが,本機で同時に利用することも可能となっています。実際にX31で無線LANとBluetoothを有効にした状態で同時使用してみましたが,問題なく利用できました。もっとも同時に利用しなくてはいけないシチュエーションというのもぱっと思いつきませんが,両者の関係を特に意識せずに利用できるのはメリットといってよいかもしれません。 # 具体的にはBluetoothでActiveSyncしつつ,無線LANでX31上の共有フォルダにアクセス。 # 共有フォルダにアクセスするにはFileExplorerのコマンドバーの一番右端のアイコンをタップしてコンピュータ名を入力しますが,共有フォルダ上のファイルは直接実行できないため,ローカルにコピーするかローカルにショートカットを作ってやる必要が有ります。……別のファイラー(オンラインソフト)を利用した方が実用的ですが。 無線LANの設定に関してはPocket PC 2003で導入されたゼロコンフィグレーションが採用されており,WindowsXPライクに簡単な設定で利用できるようになっています。アクセス本となどを検出するとナビゲーションバーにアイコンが表示され,バルーンがポップアップ。複数の接続先が検出された場合,ラジオボタンを利用して任意の接続先を選択できます。接続先の選択後WEPキーが必要な場合入力が求められるので,キーを入力すれば設定完了です。AP側でESS-ID非通知などが設定されている場合,設定→接続タブ→接続→詳細設定タブ→ネットワーク カードから「新しい設定の追加...」を選択し,後はウィザードの指示に従えばOK。 無線LANのON/OFFは再起動後の初回は「iPAQ Wirless」という専用アプリから,一端有効にした後は,ナビゲーションバーのダイアルアップアイコンをタップすると表示されるバルーンから「フライト モード」のON/OFFを切り換えることで行えますが,電源投入(スタンバイ復帰)直後はバルーンが表示されるまで7秒程度待たされるため,普段もiPAQ Wirlessを利用した方が便利です。 # この待ち時間はどうやらBluetoothの初期化時間のようです。BluetoothをOFFにしていても待たされるのがちと困りもの。急いでダイアルアップしたい時には少しストレスを感じます。 対するBluetooth側はToday画面の通知領域(タスクトレイに相当)に常駐したBluetoothマネージャを利用します。こちらはOS標準の機能ではなく独自ユーティリティ(テキサス・インスツルメンツ製?)です。Pocket PCにも関わらず操作にダブルタップが採用されている点や,ActiveSyncを開始するためにいちいちBluetoothマネージャを開かなくてはいけないなど,ユーザインターフェース的にはイマイチの印象があります。が設定ウィザードやヘルプがそれなりに作り込まれているので,Bluetoothの組み合わせ(ペアリング)の概念や手順(認証/暗号化/承認)さえ分かっていれば特に問題なく設定できると思います。私は633sとX31と組み合わせてダイアルアップとActiveSyncに利用していますが,特にトラブルらしいトラブルもなく利用できています。 # 今まで使ってきた中ではSoket社のユーティリティがもっとも使いやすく,東芝のものが最も使いづらかったですねぇ。 <Pocket PC用Bluetooth 対応プロファイルに関しては公式サイトのスペック表に記載があるため割愛しますが,Mio558のようにOS側が対応しているプロファイルしか持っていないためにActiveSyncに使えないといったことはないので通常利用には問題はないでしょう。 # なんでOS側でSerial Portプロファイルをサポートしていないのか非常に疑問ですが。Mio558でも「Pocket Bluetooth Tools(http://www.angeltowns.com/town/bluetooth/)」を利用すればActveSyncが利用できるらしい(未確認)です。 なお無線LANやBluetoothをONにしたまま,いきなりスタンバイしても特にペナルティは無いようです。Bluetoothは前述の通り復帰までに7秒前後かかりますが,無線LANの方は初回接続時と同じく4秒弱程度で接続が復帰するので気軽にスタンバイできるのは嬉しいところでしょう。 速度計測テスト(ActiveSync接続時に約10MBのMP3ファイルの転送にかかったタイム) ・無線LAN(節電モード オフ) ・無線LAN(節電モード 自動) ・無線LAN(節電モード 延長) ・Bluetooth ■各種ボタン周り h1900シリーズのボタン類も使いやすかったのですが,本機ではさらに改善されています。以下各ボタンごとにみていきましょう。 ●5Wayナビゲーション ボタン 本体前面下部中央に配置されているボタン。4方向のカーソル ボタンの中央に決定/Enterの役割を担う「アクション ボタン」が配されています。h1900シリーズ同様アクション ボタン部分が分離しているため,決定するつもりがカーソル移動に化けてしまうといった他機種にありがちな操作ミスと無縁なのは嬉しいところです。アクション ボタンの角が上手く落とされているので,カーソル操作中に誤って指を引っかけて誤動作させてしまう心配もありません。 # これは私見ですがスティックタイプのものを除くと,カーソルボタンの中央を押し込んで決定するタイプはボタンサイズと操作性(誤操作の少なさ)は比例する傾向があるように思います。本機のボタンサイズであれば,分離型がベストではないでしょうか。 h1900シリーズではカーソル ボタンの感触が硬めで,スクロール操作などに長時間利用すると指が痛くなったのですが,本機ではクリック感を残しつつも固さが抜けており操作しやすくなりました。X3iなどのように本体側面に上下スクロールに利用するアクションコントロール(いわゆる偽ジョクダイアル)のような代替手段がない本機に置いては重要な改善点といえるでしょう。 ボタン形状が丸から正方形になったため,斜め押しがしづらいようにも見えますが,実際にはかえって入力しやすく感じられます。アクションゲームやシューティングゲームでも問題なく利用できるレベルです。 # ゲームで酷使した場合,強度面でどうなるかは分かりませんが(^^; 表面処理は同じメッキでもマット風のh1900シリーズと異なり,映り込みが激しい,いかにもメッキといった質感になりました。 # 個人的には使っていて(見たくもない)自分の顔が映り込むのはちょっと憂鬱かも。 ●アプリケーション ボタン 「5Wayナビゲーション ボタン」の左右に2つづつ配置されている,アプリケーション起動用のボタン。マニュアル表記によれば正しくは予定表ボタン/連絡先ボタン/受信トレイ ボタン/iTaskボタンとなりますが,ここでは便宜上4つまとめて「アプリケーション ボタン」と呼称します。 h1900シリーズから形状が大幅に変更されています。丸いボタンは出っ張りすぎず,引っ込みすぎず丁度良い具合に配置されており,ポケットの中などでの誤動作を防ぎつつも指の腹でも押せる(いちいち指を立てて爪の先で押す必要がない)絶妙な造りです。ただ5Wayナビゲーション ボタンと近接している上,へこんでいますからアクションゲームなど頻繁に2つのボタンを押し分けたり同時押しするような用途には向いていません。快適に遊びたければ,デジカメ用の滑り止めシール(http://www2.elecom.co.jp/accessory/digital-camera/nonskid/index.asp)※のようなものを貼るなどの工夫が必要になると思います。 # 相変わらず「えここdeふぁいと!」などで遊んでいますが,h1937に比べて操作難易度が格段にあがりました(苦笑) ※ 実際にこの製品を貼って試したことはないので,サイズ的に合うかどうかは不明です。 デフォルトではスタンバイ中にアプリケーション ボタンと録音ボタンを押すと電源が入り(同時に割りつけたアプリが起動し)ますが,例によって設定→ボタン→ロックタブから無効にできます。 なおボタンの長押しに別のアプリを割りつけるといった機能は用意されていませんが,iTaskボタン※は長押しすることでタスク切り換え(最前面のアプリの切り換え)ができます。 ※ 当然ですが,正しくはボタンではなくiTask(ソフト)側の機能。PCのAlt+Tabと違って一覧表示などは出ないので,大量のアプリが立ち上がっているとちょっと不便です。その場合は素直にiTaskのウィンドウをポップアップしてから切り換えましょう。 どうしても長押しに別アプリを割り振りたいというひとには,例によって「VITO ButtonMapper」辺りをお勧めしておきます。 ボタンに描かれたアイコンは印刷ではなく、凹モールドに墨入れしたもののようです。印刷に比べハゲ難くなるので嬉しいところです。 文中で既に触れていますが、カーソルの斜め押し、ボタンの同時押し共に対応していますから、(快適かどうかはともかく)ゲームが操作できずに困るということはないでしょう。ただしGAPIを使っているゲーム(や一部アプリケーション)ではIMEがONになっているとボタンが上手く検出されません。したがってゲームを起動する前に「IMEが勝手にONにならないSIP(入力パネル)」に切り換えておく必要がありますが、Pocket PC 2003に標準搭載されたSIPでは「手書き検索」『のみ』がこれに該当します。注意しましょう。 # Pocket PC 2002ではは「ローマ字/かな」でもOKでしたが,勝手にIMEがONになるよう改悪もとい仕様変更されています。 ●録音ボタン(ボイスレコーダ ボタン) 左側面上部に配置されているボタンで,デフォルトでは(メモ帳の)ボイスレコーダ機能が割り当てられています。携帯中に誤って押されないように配慮された造りになっているため,ボタン設定で「下にスクロール」などを割り当てて頻繁に押すには(浅く気持ち硬めで)やや押しづらい印象もありますが,通常利用なら問題のない押し心地です。素直に録音ボタンとして使う場合,内蔵マイクとの位置関係も悪くありません。 ●電源ボタン 本体前面上部中央に配置。h1900シリーズでは「アラーム/充電ランプ」(LED)の機能を持っていましたが,本機ではインジケータ類は電源ボタンの左右に別に用意され,純粋に電源ボタンのみの機能をもった不透明(ダークグレー?)のものに変更になっています。 h1920からh1937への進化でちょっぴり押しやすくなった電源ボタンですが,本機ではさらに見違えるほど押しやすくなりました。このボタンを押し難いと感じるひとはまずいないでしょう。ボタンを囲むように誤操作防止用の出っ張り(土手)が設けられていますので,ポケットの中などで知らぬ間に電源が入ってしまう心配も必要ありません。地味ですが頻繁に操作するボタンだけに嬉しい改善点です。 ●リセット ボタン 本体左側面中央部の穴が「リセット ボタン」です。利用する際はスタイラスの先端を使って押すことになります。h1900シリーズとはやや位置が変更になっていますが,ボタンを直接押すわけではなくフレームのプラスチックパーツを押し下げることでスイッチが押される構造などには変更はありません。以前のやや粘りけのある押し心地はなりを潜めクリック感のある押し心地になりました。 余談ですがフル リセット(完全な初期化)時には電源ボタンを押しながら,本ボタンを押すことになります。 ■各種インジケータ 電源ボタン左にあるのが「アクティブBluetooth/無線LANランプ」。右にあるのが「アラーム/充電ランプ」です。前者はBluetooth ON時には青く,無線LAN ON時には緑に,両方ONの時には交互に点滅します。後者は充電時にはオレンジ色に点滅し,充電完了(かつAC接続)時にオレンジの常時点灯,アラーム通知時には緑色に点滅します。 充電完了時には消灯してしまう機種もありますが,これだとAC接続なのかバッテリ駆動なのか判別しづらい場合があります。細かい点ですが評価したいところです。 ■スタイラス h1900シリーズと共通のスタイラスです。筐体サイズを考えれば仕方がありませんが,もう少し太くて長い方が使いやすいですね。とはいえ伸縮機構が付いているものなどに比べれば扱いやすい部類に入ると思います。ペン軸がアルミ製なので変にしなったりしないのも嬉しいところでしょうか。 スタイラスの尻パーツはねじ込み式になっており分離するとリセットピンらしきものが出てきますが,本機のリセットボタンは普通にスタイラスの先端で押せますからあまり意味はありません。 本体への収納には(iPAQ伝統の)特殊なギミックなどはなく,単に穴に差し込む形になっています。h1900シリーズに比べると差し込みがキツく抜きにくい印象がありましたが,利用しているうちに緩くなってくると思います。 # 私自身はサードパーティ製(ボールペン機能付き)に差し替えてしまったので,実際のところは不明ですが。 ■タッチパネル(デジタイザ)精度 感度,精度ともに良好です。h1937よりh1920に近い精度※が出ていると思います。他機種にありがちな液晶周辺部のゆがみなどもなく,お絵描き用途にも気持ちよく使えると思います。iPAQシリーズはタッチパネルの表面に1枚フィルムが挟まったようなヌタっとした書き心地が常(h1920なども同様)なのですが,本機の場合それもほとんど感じられません。地味ですが本機の美点のひとつに数えてよいと思います。 # 感度に関してはもうほんの少しだけ上だといいかなとも思いましたが,お絵描き用途で極弱い筆圧で線を描こうとしない限りは支障ないレベル……というか気付かないレベルの話です。 ※ 個体差レベルの可能性も捨てきれませんが,h1920の方がh1937より微妙に精度が高い印象がありました。とはいっても弱い筆圧で素早く線を引いた際h1937ではまれに飛びが発生するといった些細なレベルの話です。 ■オーディオ ジャック 本体上面左角のオーディオ ジャックが(h1900シリーズの)2.5mm径の「ステレオ超ミニプラグ」からポータブルオーディオ等で一般的に利用されている3.5mm径の「ステレオミニプラグ」に変更になりました。変換コネクタを使わずにお気に入りのヘッドフォンが使えるようになったわけで,Pocket PCをオーディオ/ムービープレイヤーとしても利用したいひとには嬉しい改善点です。本体裏面のオーディオ ジャック付近をよく観察してみると,ジャックの部分だけ微妙に盛り上がっていることが分かります。それだけギリギリの実装だということなのでしょう。 オーディオ ジャック出力の音声品質ですが,SN比は良好で,iPAQの独自要素であるオーディオトーン(設定→システムタブ→オーディオの「イヤフォンでオーディオ トーンを使用する」)を利用することで,高音4段階,低音5段階(超低音ON時含む)好みの音質に近づけることができます。低音を強調しても音割れが起きないのは嬉しいところ。 # 個人的には高音側はあげすぎると不快な高周波成分が増幅されすぎてイマイチに感じましたが,こと音に関して私の感想を鵜呑みにするのは大変危険ですので話半分に聞いておいてください(苦笑) ただし曲間(音声発声時と終了時)のプチノイズは相変わらずなので,この辺りが気になるひとにはつらいかもしれません。 # 耳障りという程大きくもありませんが,雑踏の中でもなければ確実に聞こえる大きさです。 ボリュームに関しては最小時と最大時の幅が大きいことに加え,Pocket PC 2003のWMPはシステムボリュームとは別にボリュームが調整できる※ようになっているので音が大きすぎたり,小さすぎたりといった不満はまずないと思います。 ※ PCと同様システムボリュームの下位にWMPのボリュームがある形です。仮にシステム側を50%に設定したとすると,WMP側を最大にするとトータル50%に。WMP側を50%にするとトータルで25%の音量になるわけです。 ■スピーカ&マイク ●スピーカ スピーカはiPAQの伝統に則って,5Wayナビゲーション ボタンの下に配置されています。音質はPocket PCに搭載されているものとしては優秀な部類(h2210よりは上でh1937と同程度?)に入ると思いますが,CLIE(PEG-NX73V所有)のものなどと比べてしまうと少々金属的な耳障りな音がします。その分最大ボリュームは(CLIEより)結構大きめですので出張先でラジオ替わりにちょっと使うとかアラーム用途に使うにはいいでしょう。サイズの割りには優秀なスピーカだと思います。 ●マイク 本体上面のオーディオ ジャックとSDIO拡張スロットの間(というにはSDIO拡張スロット寄り)に設置されています。iPAQ伝統の独自要素オートゲイン機能(設定→システムタブ→オーディオ「マイク オート ゲイン コントロールを使用する」)も健在です。 ■ストラップ取り付け穴 h1900シリーズに付いていたのか奇跡だったのか,重量増加で社内規定に引っかかったのか,はたまた3.5mm径のオーディオ ジャックの搭載でスペースがなくなったのか,理由は不明ですがストラップ取り付け穴(ストラップホール)がなくなりました。 iPAQシリーズは本体側面にアクションコントロールなどのスクロールに利用できるボタン類がなくカーソルボタン操作時にはどうしてもトップヘビー気味になるため,片手操作時の安定性のためにも,そしてなによりポケットからの落下防止(クリップ付きのストラップを利用)のためにも便利な存在だっただけになんとも残念な限りです。 # ストラップホールが付いている分には使わないという選択肢がありますが,付いていないことには使えないわけでして。 どうしてもストラップを使いたいというひとは初代iPAQ(というかCASSIOPEIA)の頃からの伝統に則って裏面のネジを外してストラップの紐を巻き付けてネジ込むという強度的にもメーカ保証的にも問題のありそうな方法をとるなり,カッティングシートなどを使って張り付ける(ちょっとした工夫が必要かも)なりするしかないでしょう。 # 無論自己責任で。 ちなみに対応するトルクスドライバのサイズはT5です。 # 初代(h3600シリーズ)などはT6なので流用不可。 ■各種ポート類 ●赤外線ポート 本体下面左角という変な位置に移動になりました。ここ以外に搭載する場所が残っていなかったということなのでしょう。PDA同士や母艦とのデータのやりとりにもICカード公衆電話のダイアルアップにも不便な位置ですが,省かれてしまうよりはマシ※ですし本機の場合h2210などのように赤外線リモコンソフトが添付されているわけでもないので実害は少なそうです。 ※ 省こうにも,Microsoftの定めたハードウェアガイドラインの関係で省けないという説も。 本体を横に寝かしてもTARGUSの「Universal Wireless Keyboard」の(赤外線ポート付き)アームが届かず本体をひっくり返さないと使えないという話もありますが,本機の場合「Micro keyboard for iPAQ h2200 and h4100」※が使えるので,素直にそちらを使いましょう。 # 「Nyditot Virtual Display」で画面を180度回転させるという荒技もありますが(笑) ※ Micro keyboard for iPAQ h2200 and h4100は国内未発売ですが,PDAショップの通販もしくは海外通販などで購入可能です。販売終了オプションの「IPP ホルダーキーボード」も『多分』使えるのではないかと。 ●充電/通信ポート 本体下部に用意された,クレードルや周辺機器に接続するための通信端子です。H3800シリーズで電源とUSB,シリアル通信ポートが統合されて以来, H3800シリーズで電源と 以来のiPAQシリーズ共通 シリアル信号線が省かれていたh1900 ■クレードル ■ACアダプタ ■付属ケース ■OS関連 ■搭載ソフト ■添付ソフト ■マニュアル類 ■オプション類 ■総括 CFスロットが必須ではない方には文句無しにオススメできる機種といえるでしょう。 CF型のPHS通信カードが普及している日本市場においては使い勝手に劣る側面は否めませんが,BTA-NW1(とAH-N401C)やAH-S101S(http://www.sii.co.jp/mc/mc_card/ahs101s/),定額制が必要ないのであれば633sやauのBluetoothアダプター(0201NPK),今後増えてくるであろう(期待含み)Bluetooth内蔵の携帯電話という選択肢があります。 価格 キーボード ビュア VGA 液晶サイズと高解像度化 ランドスケープ対応 SDデュアルスロット ■摘要